【産婦人科医コラム】セックスを断ると不機嫌になる?ピル服用に反対する?・・・それは立派な暴力です。2018.10.19
パートナーと言いたいことが言いあえる関係にありますか?
パートナーが怖くて「No」と言いにくい、すぐ機嫌悪くなるから気を遣っている、避妊に協力してくれないので予期せぬ妊娠をしていないか不安、などということはありませんか?
ドメスティック・バイオレンス(DV)とは、配偶者や恋人など親密な関係にあるパートナーからの「暴力」をいいます。
未婚のカップルの場合は、デートDVといいます。
殴る、蹴るといった身体的な暴力であれば暴力を受けていることに気づきやすいですが、心理的な暴力、性的暴力のみの場合は分かりにくく、「やさしいところもあるから」とうまく支配されていきます。
たとえば、
- 無視する
- 大声で怒鳴る
- 不機嫌そうに大きな音をたてる/舌打ちをする
- 目の前で物を投げたり壊したりする
- 「誰のおかげで食べられると思っているんだ」とおどす
- ブス、デブなどという
- ダメなやつだ、などとおとしめる
- 大切にしているものを壊す
- 働かない/貢がせる
- 行き先を細かくチェックする
- 自由に行きたいところに行かせない
- 帰りが遅くなると機嫌が悪くなる
- 友人や親族との付き合いを制限し、孤立させる
- セックスを断ると不機嫌になる
- 避妊に協力しない
- ピルを服用することを反対する
- 中絶を強要する/中絶させない
- やりたくないセックスの方法を押し付ける
- 見たくないポルノを見せる
- ポルノの真似をさせる
・・・などは、立派な暴力です。愛ではなく、束縛です。
DVの本質は、暴力(脅し)を使って相手を怖がらせ、自分の思い通りに支配することです。
気付かないうちに「自分はダメだ」「どうせ逃げられない」「自分が至らないから相手が怒るのだ」とだんだん自分が本来持っていた力をなくし、相手を怒らせないようにするため自分の考えを言わないようになり、相手の言いなりで生活することに慣れてしまいます。
時々やさしくなったりすることでマインドコントロールされ、逃げられない状況に置かれてしまいます。
このような状況に置かれると、身体的暴力を受けていなくても様々な心身の不調が現れます。
たとえば、
ドキドキ(動悸)、過換気発作、不眠、食欲不振、月経異常、頻尿・切迫性尿失禁、性交痛、外陰部痛、慢性疼痛、頭痛・腹痛、過敏性腸症候群・・・など。
病院を受診しても明確な診断がつかず、症状緩和のお薬でしのぐだけ。
いつまでたっても不調は解決しません。
相談することは勇気のいることです。
しかし、何かよくわからないけれど楽しくない、という状態が続いたら、パートナーとの関係に上記のような「支配」の要素がないか、ぜひ見つめなおしてみてください。
これって暴力?と思ったら、「内閣府男女共同参画局・女性に対する暴力の根絶」で確認を。
これからどんな選択肢がある?などの相談は、各都道府県の「配偶者暴力相談支援センター」へどうぞ。
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/index.html
種部恭子
女性クリニック We! TOYAMA
女性へのメッセージ
女性の活躍が期待されていますが、活躍のために最も必要なのは女性の健康です。女性のライフステージや人生のプランを見据えた、信頼できる健康のアドバイスを活用してほしいと思います。