【産婦人科医コラム】更年期以降の外陰部の不快な症状2018.11.16
更年期以降におこる外陰部の不快な症状ってどんなもの?
更年期以降の女性は、外陰部や腟にかゆみがでたり、ヒリヒリ感、乾燥、臭いなどの不快な症状を感じることが多くなります。
更年期の症状といえば、ほてりやのぼせ、気分の落ち込みなどの更年期障害を思い浮かべることが多いと思いますが、外陰部の不快な症状も更年期の女性ホルモン(エストロゲン)の低下により起こります。
エストロゲンが減少することで、外陰部や腟のうるおいやふっくら感がなくなり、乾燥し、やせて、雑菌が繁殖するためにこれらの症状がおこります。
不快な症状はなぜおこる?
エストロゲンの低下により、腟や外陰部では以下のようなことがおこります。
- 血流が悪くなり、腟内のコラーゲンをつくる細胞と分泌液も減少(乾燥・かゆみの原因)
- 腟粘膜がうすくなり、外傷を受けやすくなる(腫れ・焼けつくような痛み・性交痛の原因)
- 腟内の酸性を保つ乳酸菌が減少し、雑菌が増加(臭い・かゆみの原因)
- 尿道周囲の筋力とコラーゲンも低下(尿漏れの原因)
これらはエストロゲンの低下によりおこるので、一旦症状が現れると、自然に改善することはなかなかありません。
そして悩んでいる方は多いのですが、「婦人科で診てもらうのは恥ずかしい」「加齢によるものだから仕方ない」と考えて病院を受診せずに我慢していることがほとんどです。
治療法はあるの?
このような外陰部の不快感に対しては、エストロゲンを含有した腟錠を投与するのが一般的です。
これ以外の更年期の症状もある場合は全身投与のホルモン補充療法を行うこともできます。
ただし、ホルモン療法だけでは腟のうるおいを取り戻せない人もいます。
薬物治療以外の選択肢としては、
- 腟を内側に引き込むことをゆっくり繰り返す骨盤底筋トレーニングにより尿漏れやたるみの予防・改善
- 性交時に潤滑ゼリーを使用し性交痛を和らげる
- 腟と外陰部へのレーザー照射を行う(顔のリフトアップなどに用いるものと同じ)
などもあります。
勇気を出して婦人科に
更年期以降に外陰部や腟の悩みはよくあることだということがお分かりいただけたかと思います。
他人に相談もしづらくお一人で悩むことも多いものですが、自己判断で放置したり市販薬で対応していてもなかなか改善することはむずかしいです。
更年期以後の人生も長く続くことを考えて、是非勇気を出して婦人科に相談してみていただければと思います。
あなたにあった治療を見つけて毎日の生活が快適に過ごせるようになることを願っています。
八田真理子
聖順会 ジュノ・ヴェスタクリニック八田
女性へのメッセージ
悩みや心配ごとをいまは何でもインターネットで調べることができるようになりました。こんな時代だからこそ、本当に信頼できる情報を得る必要があります。そして是非、かかりつけの産婦人科医をもちましょう。当クリニックでは、女性の立場に立った、きめ細かで丁寧な診療を心がけております。