【産婦人科医コラム】ピルと血栓症 その12019.01.25
「ピルは飲んでみたいけれども、血栓症がこわい」と、ピルを飲むことに躊躇されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
数年前にピル内服中の患者さんが血栓症を発症したというニュースが世間を騒がせて以降、今でもインターネットの検索などをみて患者さんからよく質問を受けます。
実は、このニュースが日本で話題になるもっとむかしに、アメリカでも同様のニュースが話題となったことがあります。
血栓症とは
血栓症とはいったいどのような病気なのでしょうか?
血栓症とは、血管の中で血が固まってしまうことによって、血管を詰まらせてしまう病気です。
それが頭や肺の血管に詰まると大きなトラブルを起こすことがあります。
しかし、きちんと治療法もある病気だと考えてくださいね。
ピルを飲むことであがる血栓症のリスクとその程度
ピルに含まれる女性ホルモンの影響で血液を固まらせる成分が身体に増加することが検証されており、理論上血栓症のリスクは上がるといえます。
実際にピルを飲んで血栓ができる可能性は1万人に3~9人といわれており、ピルを飲んでいない人と比較すると2~4倍程度増加するといわれています。
ただし、ピル服用すること以外で血栓症のリスクがあがることがあります。
それは「妊娠」です。ピルを服用する多くの患者さんは妊娠も考える世代が多くいらっしゃいます。
実は、妊娠をすれば血栓症の発症率は1万人あたり5~20人といわれ、ピルを飲む人の6倍近く危険性を持っているといえます。
皆さん、妊娠したときは血栓症のことを気になりませんよね?
妊娠と同じできちんとケアをおこなえば、ピルも安心して服用できる薬なのです。
その他血栓症のリスクを高める要因
ピルを服用すること以外で、いくつかの注意点があります。
注意しなければならないのは年齢、喫煙、そして肥満です。
タバコを吸う人は血栓症のリスクが普通の人の約2倍となります。
また、肥満もBMIが増加するほど危険性が高くなります。
意外と知られていませんが、実はピルの飲み始めも血栓症が起こりやすくなります。
血栓症を防ぐためにも、毎日同じ時間に服用するようにしましょう。
本日は血栓症がどのようなものか、実際のリスクはどのくらいあるのかについてお話いたしました。
次回は血栓症を予防するためにできることについてお伝えしたいと思います。
奥久人
女性クリニック We おおさか
女性へのメッセージ
当クリニックは、大阪メトロ御堂筋線「心斎橋」駅から心斎橋筋商店街に入り、徒歩3分という立地にあります。地域の特性上、月経にまつわるトラブルや感染症に対する治療が多くなります。日本で認可されている低用量経口避妊薬は全種類取り扱っており、個々の症状に応じた薬物選択が可能です。婦人科疾患についても、薬物療法だけでなく手術や感染症、ホルモン治療に精通した専門医がおり、薬物療法から手術療法までライフプランに応じた治療計画をご相談いただけます。また、提携施設にて、当院医師が手術にも立ちあい、術前から術後の治療に至る継続した診療が可能です。