【産婦人科医コラム】赤ちゃんを授かりたい人は甲状腺の機能をチェックしましょう2019.02.08
甲状腺機能異常は不妊や流産、早産など、生殖関連に影響を及ぼすといわれています。
機能異常には亢進症と低下症の2つのタイプがあります。
甲状腺機能低下症
低下症の場合は血液検査で、FT4という甲状腺ホルモンが低下します。
プロラクチンというホルモンの値も上昇し、排卵障害を引き起こす高プロラクチン血症になったり、また黄体ホルモンの分泌が下がり黄体機能不全になり不妊の原因となることも。
また、甲状腺ホルモンの分泌が少ないことで流産のリスクが上昇し、胎児の神経発達に影響するという報告も見受けられます。
亢進症に比べて、低下症は比較的早く治療効果が出やすく、足りないホルモンを補充し安定した状態を保つことができれば、甲状腺の治療と並行して妊娠トライが可能となります。
甲状腺機能亢進症
亢進症で代表的な疾患がバセドウ病です。
血中のFT4が上昇します。
頻脈や動悸、体重減少、疲れやすいなど様々な症状が出現します。
不妊の原因となり、また流産・早産・死産のリスクが高まるため、治療によりホルモン状態がコントロールできてからでないと、妊娠にトライすることはできません。
バセドウ病治療薬の種類によっては、妊娠初期の胎児に影響を与えるものもあるため、妊娠を希望されている方は内科の医師にしっかりその旨を伝える必要があります。
甲状腺ホルモンを補充した方がよい時
近年、FT4は正常なのに、甲状腺刺激ホルモン(TSH)だけが高い潜在性甲状腺機能低下症の場合でも、妊娠を希望する女性については早めに治療を開始したほうがいいとされています。
また、妊娠初期は甲状腺ホルモンの必要量が増えるので、治療中の方は、妊娠初期に薬の量は増やす必要がある場合も。
甲状腺機能異常がある方は、妊娠前に甲状腺ホルモンを安定させ、健全な状態で妊娠にトライしてください。
なお、一般内科ではなく、甲状腺疾患専門の施設で管理してもらうことをお勧めします。
俵史子
俵IVFクリニック
女性へのメッセージ
静岡市にある不妊治療を専門とするクリニックです。妊娠成立の為に全力を尽くすことは勿論のこと、妊娠後や出産時のリスクを軽減させるため、内科的合併症管理、体質改善、生活指導、メンタルサポート、妊娠初期管理などの体制づくりにも力を入れています。お子さまを望む方々のために、可能な限りのお手伝いをしたいと考えております。