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【産婦人科医コラム】婦人科の良性疾患と腹腔鏡下手術(1)2019.02.22

婦人科の良性疾患と腹腔鏡下手術(1)

近年、外科領域で急速に広まってきたのが腹腔鏡下手術です。

婦人科領域でも良性卵巣腫瘍を中心に1990年代終わりごろから全国的に広がりはじめ、今では悪性腫瘍(子宮体癌と子宮頚癌の一部)に適応が広がろうとしています。

良性疾患を扱っている当院を例に挙げると、腹腔鏡下手術のうち子宮全摘術が約40%、子宮筋腫核出術が20%程度です。

卵巣は良性腫瘍が25%、子宮内膜症が15%程度です。

今回は良性の疾患の診断から治療への進め方についてお話しします。

子宮筋腫

多くは過多月経などの月経異常や下腹部のしこりを主訴に、時に不妊症の原因除去として相談に来られます。

複数の筋腫核が見られることがほとんどで、内診や超音波検査で子宮の増大を確認します。

子宮筋腫は40代なら数人に一人くらい小さいものなら必ず見つかるほど多い疾患ですが、サイズや数ではなくご本人の生活(QOL)に影響を与えているかどうかで手術を考慮します。

MRIを撮り、筋腫の位置や数、性状を確認します。

筋腫は女性ホルモンの影響をうけて大きくなるので、閉経後は徐々に小さくなります。

多くの場合、術前に3~6ヶ月間の偽閉経療法を行い筋腫を縮小させてから手術を行います。

子宮全摘にするか筋腫摘出にするかは、状況に応じ患者さんと相談して決定しますが、腹腔鏡下に手術が行えるかどうかは子宮の大きさを含む状況や担当医師の技術・経験によります。

切離した筋腫や子宮は、子宮全摘の場合はほとんどの場合、腟からもしくは手術のためにおなかに小さく開けた穴から取り出します。

筋腫の破片を体内に残すと腹腔内に生着し発育する(parasitic myoma)ことがあり注意が必要です。

子宮腺筋症

子宮筋腫と同様に40歳以上の方に多い疾患のひとつです。

子宮内膜が子宮筋層内に入り込むことにより発症すると考えられています。

強い月経痛や過多月経が主な症状ですが、不妊の原因になることもあります。

超音波検査やMRIで診断します。

核出が可能な筋腫と異なり、手術で腺筋症部分を摘出するのは再発の可能性が高い事も含め、困難なことが多いのが現状です。

よって手術を行う場合は子宮全摘術を選択する傾向があります。

次回は卵巣腫瘍と子宮内膜症について紹介します。

和田 俊朗

和田俊朗

宮崎善仁会病院

女性へのメッセージ

当院は、年間500例の手術、そのうち300例以上の腹腔鏡下手術を行っています。 外来ではその方に応じた治療を心がけています。

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