【産婦人科医コラム】子宮頸がんを予防しましょう(1)2019.03.06
子宮頸がんは若い人に増えています
解剖学的に子宮下部を子宮頸部、子宮上部の部分を子宮体部と呼び、それぞれの部位に生じるがんを子宮頸がん、子宮体がんといいます。
以前は子宮頸がんの発症のピークが40~50歳代でしたが、最近は20~30歳代の若い女性に増えてきており、30歳代後半がピークとなっています。
国内では、毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約2700人が死亡しており、また平成12年以降は患者数も死亡率も増加しています。
初期で見つかれば子宮を温存できますが、進行がんの場合は子宮を全摘出せざる得なくなり妊娠出産ができなくなります。
晩婚化・初産年齢の高齢化が進む現代女性において、子宮頸がんの発症が若年化していることは深刻な問題です。
子宮頸がんの初期症状は自分では気づけない!!
通常子宮頸がんは早期にはほとんど自覚症状がありません。
進行するに従っておりものが増えたり、匂いが強くなったり、不正出血や、性行為の際の出血などの症状がでてきます。
子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です
子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因であることがわかっています。
このウイルスは性的接触により子宮頸部に感染します。
HPVは男性にも女性にも感染するウイルスで、性交経験のある女性の多くが、一生に一度は感染機会があるといわれています。
もしもHPVに感染しても約9割の人は自分の免疫力でウイルスを排除できますが、のこりの1割の人ではHPV感染が持続します。
HPVが長く感染し続ける女性の一部の人には、軽度異形成、中等度異形成、高度異形成、上皮内がんという前がん病変を経て、子宮頸がん(浸潤がん)が発生することがあるとされています。
今回は子宮頸がんにかかる若い人が増えている現状と、ウイルス感染が原因であることをご紹介しました。
次回は子宮頸がんにならないためにできることについてお伝えしたいと思います。
(2018年11月寄稿)