【医療スタッフコラム】女性と心の病気2019.07.12
心の病気は女性に多い?
心の病気に性差があるのをご存知ですか?
摂食障害(拒食症・過食症)、うつ病、不安障害、アルツハイマー型認知症は、男性より女性に多いことが知られています。
これは女性ホルモンの変動でストレス抵抗力が弱まるという生物学的要因、女性の社会的立場が弱いため、ストレスを受けやすく解消しにくいという社会的要因、感情が細やかで対人関係に悩みやすいという心理的要因が関係しています。
抑うつ状態とは
最近うつ病が増え、一般に認知されるようになりました。
一見元気そうでも、生きる喜びを感じられないので、生活の質が低下する重大な病気です。
うつ病までいかなくとも、落ちこみや気力の低下、体調不良(疲労、頭痛、めまいなど)といった抑うつ状態になることは誰にでもあります。
女性には抑うつを起こしやすい3つの時期があります。
毎月の月経前、産後、更年期で、女性ホルモンが低下する時期にあたります。
女性ホルモンは精神・神経を保護しますが、その変動期は危機となります。
更年期に抑うつ状態になりやすい理由
更年期に相当する50歳前後の時期は、女性として精神的な成熟期にあり、職場や家庭で役割を果たす、安定した時期と考えられます。
しかし、女性の一生の中では、閉経を迎え、老年期への折り返し地点。
女性ホルモンが急激に減少するため、身体的に抑うつを起こしやすい上、社会的ストレスも重なります。
子の巣立ち、親の介護や看取りなどを体験し、自分に迫る老いを自覚します。
自分または夫が定年を迎えることで、夫婦の生活リズムが変わり、経済的不安につながることもあります。
これまで培ってきたものや社会・家族の中で獲得してきたものを、さまざまな形で失っていく過程を喪失体験といいます。
更年期女性は、これらを上手に受け入れて適応していくことが求められているのです。
更年期の抑うつは産婦人科に相談を
抑うつを疑ったら、ただの更年期障害と放置せず、産婦人科医に相談して下さい。
うつ病の治療は選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)などの抗うつ剤が一般的ですが、更年期のうつ症状には女性ホルモン剤が有効なこともあります。
更年期の身体と心の不調を、女性ホルモンの状態から評価して治療できるのは産婦人科医だけです。
適切なアドバイスがもらえると思います。
今後の人生の目標を立て直して健康管理していくきっかけに役立てましょう。
自分でできる抑うつ対処法
日々の生活に気をつけることでも心の病気は予防できます。
食事・睡眠・休養を大切にし、ストレスをため込まないようにして、心のセルフケア力をつけましょう。
脳内の幸福ホルモン(セロトニン)は、肉などに含まれるトリプトファンという必須アミノ酸から作られますし、規則正しい生活や軽い運動、朝太陽を浴びる事で活発に働きます。