【産婦人科医コラム】妊娠・出産のあれこれ2019.09.20
仕事柄垣間見る妊娠・出産についての話題を思うままに書いてみたい。
「できちゃった婚」について
これはご存知のように妊娠が先でその後結婚することをいう。
最近では皆さんの周囲でも結婚式の時に微笑ましい話題としてお聞きになることが多いのではないだろうか。
厚労省の統計によると、嫡出第1子出生数のうち、妊娠期間よりも結婚期間の方が短い方の割合は、1980年(昭和55年)に10.6%だったものが2004年(平成16年)には26.7%と約20年で倍増している。
この傾向は特に若い方に多く19歳未満では約8割、20歳代では6割以上となる。
実際私のクリニックでも、できちゃった婚の割合は6割を超えている(ある調査では、わが佐賀県は全国で2番目にできちゃった婚が多いらしい)。
これは日本において婚前交渉を容認する社会的意識がすでに一般化していることを示していると思われる。
ここでその是非を問うつもりはないが「できちゃった婚」にはいくつかのデメリットもある。
一つには、せっかくのハネムーンが制限されることである。
夢にまでみたハネムーンであろうが、悪阻(つわり)や切迫流産、切迫早産などで行動範囲が制限されてしまう。
また本来、一番ロマンティックな時期であろう新婚時代がいきなりの妊娠、子育てという現実に直面してしまう。
また想定外の妊娠に流されて結婚してしまった場合それがスピード離婚の原因となることもある。
「流産」について
流産はとても辛く悲しいことだ。
特に妊娠したという喜びの絶頂から、突然大きな悲しみへと突き落とされるからなおさらである。
医学的には流産する頻度は意外と高く、全妊娠の中で15%位である。
この頻度は年齢との関係もあり35歳をすぎると段々高くなっていく。
産科医療の発展により早産が減り、小児科医療の発展で早産児(未熟児)が助かることが増えてきたが、この流産だけは医学の手が届かない。
予防することも治療することも出来ないのが現実である。
「お産の安全神話」について
妊娠は喜ばしいこと、またお産はおめでたいことという中で、誰でもいつでも無事生まれることが当たり前みたいな風潮はないだろうか?
でも妊娠するということは、例えば車に乗れば誰にでも一様に交通事故にあうリスクがあるように、誰にでも様々な合併症、異常分娩など予期せぬことが起こる確率がゼロではない。
統計的にみると、やはり妊娠・出産には適齢期があると言われている。
ご自分で生む時期をよく考えて計画されること、太り過ぎややせ過ぎに気をつけること、タバコを吸わないこと等々、自分でもリスクを下げる工夫が望まれる。
それにしてもお産は時としてまさに命がけである。女性に心より感謝したい。
大隈良成
大隈レディースクリニック
女性へのメッセージ
当院はソフロロジー式分娩法でお産をしています。 ソフロロジー式分娩の特徴である「母性愛の確立」や「リラックスした雰囲気」は、当院の家庭的でくつろげる環境やスタッフ1人1人に通じています。 患者様には安心の医療設備・患者様の立場に立ったまごころを込めた医療・看護で心からリラックスしていただいて、明るい気持ちで通院したり、素敵なお産をしていただきたいと考えております。 また、お産はお母さんの誕生でもあり、育児のスタートする瞬間でもあり、その大切な瞬間に立ち会う大きな喜びと責任を感じています。1962年からこの地で開業している当院は、地域と密着していきながら女性のサポートを今後も行っていきたいと思っております。