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うっかり忘れを防いで、記憶力を良くするためにできることは?2020.02.26

うっかり忘れを防いで、記憶力を良くするためにできることは?

年齢を重ねるにつれ、誰かの名前や経験した出来事、行った場所、言い回しなどが出てこない「うっかり忘れ」は多くなっていきます。今回はうっかり忘れを防ぎ、記憶力を良くするために日常生活でできる対策を紹介します。

「アレ、なんだっけ…?」が多くなるのはどうして?

個人差はあるものの、加齢とともに脳は少しずつ委縮し、新しい情報を留めておいたり、整理し素早く取り出す力も衰えていきます。これは、脳のなかに無数に存在する神経細胞が徐々に死滅・減少し、脳内の情報伝達のネットワークが縮小されるために起こる現象です。

加齢による委縮は脳全体に及びますが、なかでも作業記憶を一時的に保存・整理する前頭葉は、委縮による機能低下の影響を受けやすいとされます。前頭葉が情報を取得・整理し、使用するための優先順位を付けたりする能力は、加齢とともに衰え50代になる頃にはピーク時の70%程度になると言われています。

加齢に伴い知っていたはずのことを忘れる、またはなかなか思い出せなくなってしまうのは、年齢とともに脳の前頭葉が委縮することが原因で起こるのです。

うっかり忘れないようにするために、日常生活で気をつけることは?

繰り返し見聞きしたり、経験したことを作業記憶として留め、整理して使えるようにする前頭葉の働きは、別名「ワーキングメモリ」とも呼ばれています。前述した通り、うっかり忘れの大きな原因は年齢とともにワーキングメモリの機能が衰えることによるものです。

したがって、ワーキングメモリを鍛え機能を向上させることができれば、記憶の定着を助けうっかり忘れを予防することができるということになります。日常生活のなかで、うっかり忘れをなくすためにできる対策として、以下のようなものがあります。

マルチタスクを避けて、ワーキングメモリの空き容量を確保する

ワーキングメモリの記憶容量には限りがあり、あまり大量の情報を整理し、保持することはできません。このため、たくさんの作業を同時進行しようとするといっぱいになってしまい、一つひとつを正しく記憶したり、うまく情報の取捨選択をすることができなくなってしまいます。

うっかり忘れを予防するには、物事に優先順位をつけてひとつずつ着実に終わらせていき、常に1~2つ分のワーキングメモリの空きを確保するのが効果的です。

覚えたいことをアウトプットし、記憶力を鍛える

記憶は何度も出し入れすることで定着しやすくなり、また出し入れの作業を繰り返すことは、脳に程よい刺激を与えることにもなります。このため、うっかり忘れを予防するには、以下のような方法で記憶をアウトプットするクセを付けるとよいでしょう。

  • 人との会話を通して起きたこと、覚えたいことをアウトプットする
  • メモや日記、SNSなどを使い、アウトプットして記憶として定着しやすくする
  • 本などを読み、その内容をまとめた文章を書いて読み返し、情報の出し入れをする

軽い運動で記憶力が鍛えられるって本当?

10~30分ほど、本人が心地よいと感じる程度の軽い有酸素運動をすると、全身の血流が良くなって脳に酸素が行き渡り、活発化すると言われています。
ある若年男女に行われた実験では、10分間エアロバイクを漕いだ人と安静にした人を比べたとき、以下のような結果が得られました。

  • 運動した人の方が、安静にした人よりも記憶力を司る海馬の働きが向上した
  • 運動後に記憶力をはかるテストをしたところ、運動前よりも結果が向上した

このことから、軽い運動は記憶力、ひいては脳全体の活性化に有効的だと考えられます。

うっかり忘れを減らしたいなら、習慣的にウォーキングやサイクリングなどの軽い運動を取り入れて、記憶力を鍛えましょう。

おわりに:うっかり忘れは、日々の習慣を少し変えるだけで減らせる

新しい記憶は、まず作業記憶・ワーキングメモリとして前頭葉で整理・保存されます。その後、重要な記憶と判断されたもののみ、短期記憶を司る海馬に運ばれるのです。しかし前頭葉の働きは、加齢で脳が委縮するのに伴って低下していきます。年齢とともにうっかり忘れが多くなってくるのは、前頭葉と脳全体の萎縮によるものなのです。情報の扱いを工夫し、適度な運動を取り入れて、日々記憶力を鍛えましょう。

(medicommi 2020年2月26日)

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