気づかないうちに重症化することも!「低温やけど」って?2021.06.24
冬の季節など寒さを感じる日は、カイロや電気毛布、湯たんぽなどの暖房グッズを使いたくなりますよね。手軽に体を暖められて便利な暖房グッズですが、使用中に低温やけどが発生することがあります。低温やけどは熱湯などで負う高温やけどとは異なる特徴を持ち、症状や予防法、対処方法が異なりますので低温やけどについて理解しましょう。
冬に気をつけたい「低温やけど」とは
熱湯や熱い火に触れてしまうと、高温やけどを負うことがあります。このときの体は熱源に触れてすぐに「熱い!」と反応し熱源からすみやかに離れようとしますので、やけどが皮膚の深部に及ぶことはあまり多くありません。赤い腫れ、水ぶくれなどの比較的軽症にとどまる傾向があります。
一方、低温やけどは皮膚深部まで影響するおそれが高くなります。というのも、低温やけどが体温より少し高くて気持ちよい程度に暖かい温度に長時間触れ続けることで引き起こされ、熱さや痛みが感じにくくなるため気づかないうちに重症化してしまうためです。高温やけどほどの異常があらわれにくいため、対処が遅れがちになります。最悪の場合、皮下組織が壊れる、治療の長期化、皮膚が再生しない、感染症など重症に陥ることがあります。特に、熱さや痛みを感じにくい体の部位で低温やけどが発生しやすくなるため、注意が必要です。
低温やけど発症率が高い部位
- かかと
- くるぶし
- すね
脚は血行が悪くなりやすいため、知覚が比較的鈍感な部分です。寒い季節にはカイロや電気毛布、湯たんぽ、こたつなどの暖房グッズを足元に使用する人が多くなりますが、暖房グッズが発する温度は気持ちよい温かさのため、低温やけどを引き起こす可能性が高くなります。
低温やけどになったときの対処法は?
低温やけどは、皮膚深部にまで及んでいても、表面を見ただけでは異常がないように見えたり、痛みを感じない場合があります。
低温やけどの対処法
自己判断せずにすぐに医療機関を受診する
低温やけどは見た目や感覚ではわかりにくいものですが、放置すると感染症リスクなど重症につながるおそれがあります。少しでも異変を感じたら迷わず医療機関を受診しましょう。受診するときは、どんな暖房グッズをどのくらいの時間使用したか伝えてください。
患部は水道水やシャワーでやさしく洗う
患部に消毒薬は使わないでください。消毒薬は傷が治癒していく間に働く細胞などを傷つけるおそれがあります。消毒薬がかぶれを引き起こして回復が遅くなる可能性も考慮し、患部は水道水、シャワーなどでやさしく洗います。
患部に外用薬を塗り、ガーゼなどで覆う
医療機関で軟膏などの外用薬が処方されたら、医師または薬剤師の指示にしたがって塗布します。ガーゼで覆い、患部を保護しましょう。ガーゼは清潔を保ち、感染症予防をしてください。
治ってきたら保湿剤を塗る
やけどの傷の回復は、患部の周囲から皮膚が張って乾いてきます。そのときにかゆみや色素沈着が起こる場合がありますが、保湿剤を塗ることでそういった症状の緩和が期待できます。
民間療法に頼らない
自己判断で民間療法で対処するのはおすすめできません。たとえば発生した水ぶくれを自分でつぶしたり、何かを塗りこんだりした場合に雑菌感染のおそれがあります。
低温やけどを予防するには?
暖房グッズを使うときは、低温やけどを予防するために取扱説明書を読み、正しく使用してください。ほとんどの暖房グッズは、同じ部位に熱源を長時間当て続けないようにすると安全です。就寝中は使用を控えたい暖房グッズが多いことを理解しましょう。
使用上の注意
カイロ
肌に直接触れてはいけないタイプのものは、衣類の上から使用します。ただし体にフィットする服を着ていると血行が悪くなり、低温やけどが発生しやすくなりますので注意してください。
電気毛布
就寝中の使用はおすすめできません。就寝前にセットして布団の中を温めるために使ったり、可能ならタイマー設定したりしておきましょう。
そのほか
疲れがたまっているときやお酒を飲んだあとは、自分の意思とは関係なく眠りに落ちる可能性が高くなります。するとホットカーペットに顔をくっつけたまま寝てしまうなど、危険な状態に陥るおそれがあります。
おわりに:低温やけどは自覚症状があまりないので重症化に注意しましょう
低温やけどは熱さや痛みなどの知覚による症状が少なく、発症していることに気づきにくいのが特徴です。カイロや電気毛布などの暖房グッズ使用中や使用後に異常を感じたら、迷わず医療機関を受診してください。
(medicommi 2020年10月24日)