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若年性認知症の特徴と早期発見のために気をつけることは?2021.12.23

 高齢者に該当しない年齢の方が認知症を発症すると「若年性認知症」と呼ばれます。この記事では、若年性認知症と高齢者の認知症の違いや、早期発見のポイントを解説します。

若年性認知症とは

 若年性認知症とは、一般的には65歳以上の高齢者にみられる認知症が65歳未満で発症したものです。原因疾患によって「血管性認知症」「アルツハイマー型認知症」「前頭側頭型認知症」「レビー小体型認知症」などに分かれます。それぞれ、以下のような原因で発症します。

血管性認知症

 脳梗塞や脳出血など、血管の異常に引き続いて起こる

アルツハイマー型認知症

 脳の神経細胞が徐々に減少し、正常に働かなくなる

前頭側頭型認知症

 前頭葉や側頭葉など、脳の前方部分が萎縮する

レビー小体型認知症

 脳の中に「レビー小体」というタンパク質が発生する

 高齢者ではアルツハイマー型認知症が圧倒的に多いのに対し、若年性認知症では血管性認知症がもっとも多いことがわかっています。そのほか、頭部外傷の後遺症、感染症、脳腫瘍など、若年性認知症は原因が多岐にわたる特徴があります。

 原因以外にも、若年性認知症と高齢者の認知症は以下の点で異なります。

  • 発症年齢が若い(平均51歳程度)
  • 高齢者の認知症は女性に多いが、若年性認知症は男性に多い
  • 体力があり、ボランティアなどの活動はできる
  • 今までと違う変化に気づくが、認知症とは思い至らないことも多い
  • 働き盛りであることが多いため、経済的な問題が生じる
  • 主な介護者が配偶者になることが多い
  • 親世代の介護と重なることもある
  • 高齢の両親が介護者となることもある
  • 子どもの養育や教育・結婚、夫婦間の問題など、家庭内で起こる問題が大きい

早期発見のためのチェックポイント

 若年性認知症も、高齢者の認知症と同様に早期発見・早期治療が重要です。現在ではアルツハイマー型認知症の進行を遅らせる薬がありますので、早期に治療を始めることができれば、日常生活を維持することができるだけでなく、周囲の方の介護の負担を減らすことができます。

 以下、職場・家庭・運転時・性格・行動の5つの場面について、自分自身および周囲からみた早期発見のためのチェックポイントをご紹介します。

【職場】

自分自身でのチェックポイント

  • 今までやっていた仕事の手順がわからなくなる
  • 上司の指示を忘れてしまう
  • 取引先の担当者の名前を忘れた、または覚えられない
  • 電話を取ったとき、メモを取ろうと思っても取れない、あるいは忘れる
  • ミスをしたときの状況を忘れる
  • 顧客や取引先との約束を忘れる

周囲から見たチェックポイント

  • 同じものを何度も注文し、在庫が大量になる
  • 仕事でミスが増えた
  • 仕事のスピードが明らかに落ちた
  • いつもの手順で仕事ができず、抜け漏れが多い
  • 仕事で接客をしていても、短いスパンで何度も同じことを聞く

【家庭】

自分自身でのチェックポイント

  • 作り慣れた料理が作れない
  • 自分で料理しても、何を料理したか覚えていない
  • 味の好みが変わった
  • 火をつけたまま放置してしまう
  • 趣味が突然できなくなった、興味をなくした
  • 子どもの学校行事などを忘れる

周囲から見たチェックポイント

  • 1日に同じことで何度も電話する
  • 作ってほしいメニューを言っても毎日同じ料理ばかり作る
  • 同じものをいくつも買ってくるので、冷蔵庫が同じ食品でいっぱいになる
  • 子どもが孫を連れて遊びに来ても、早く帰れと言ったり、来るなと言ったりする
  • 季節に合う服装ができないなど、身だしなみに無頓着になる

【運転時】

自分自身でのチェックポイント

  • どこを走っているのかわからなくなる
  • アクセルとブレーキを間違えそうになる
  • 運転時の判断能力が落ちたと感じる
  • 通い慣れた道なのに、目的地にたどり着けない
  • 家族から運転を危ないと言われるし、自分も不安に思う

周囲から見たチェックポイント

  • 車にぶつけた跡や傷があった
  • 車間距離が極端に狭いと感じる
  • 信号無視を平気でするようになった
  • 駐車や車庫入れがスムーズにできなくなった
  • 車線への入り方がわからず逆走した

【性格のチェックポイント】

自分自身でのチェックポイント

  • おしゃれに関心がなくなった
  • 1人になりたくないと思う
  • 涙もろくなったと感じる
  • 以前はいろいろアイデアが浮かんでいたが、今はなにも浮かばない

周囲から見たチェックポイント

  • 明らかに怒りっぽくなった
  • 感情がコントロールできないなど、子どもっぽくなった
  • 自分の間違いを他人のせいにする
  • テレビを見ながら、汚い言葉で罵りの独り言を言っている
  • 上記のような行動を注意すると殴りかかってくる
  • 配偶者が出かけると、浮気をしているのではないかと疑うようになった

【行動のチェックポイント】

自分自身でのチェックポイント

  • 時間で決められた約束を忘れてしまう
  • ドラマなどのストーリーが理解できない
  • 人の話が理解できない
  • 自分の名前が書けない
  • 親戚や知人、地域など身近な人の顔を見ても名前がわからない
  • 財布や鍵をどこに置いたかわからなくなる

周囲から見たチェックポイント

  • 夜、用もないのにふらふら出かける
  • ティッシュをちぎって洗面所やトイレに詰めるなど、不可解な行動を毎日行う
  • 会話の最中、話題についていけていない
  • ペットに何度も食事をあげる
  • いつも探しものをしている、家族や身近な人が盗ったと言い出す

おわりに:若年性認知症も早期発見・早期治療が重要です

 若年性認知症は働き盛りの40〜50代の方に発症するため、本人はもちろん、周囲にも与える影響が大きい病気です。早期発見・治療できれば、進行を抑えることもできますので、日常生活や職場で今までと違う言動がみられたら、しばらく様子をみたり、声をかけてあげてください。
(medicommi 2021年3月1日)

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