経鼻内視鏡検査にもデメリットがある?受ける際の注意点は?2022.01.20
体の異常を発見する健康診断はとても大切ですが、検査中に苦しさや痛みを感じることがありますよね。経鼻内視鏡検査では胃カメラ検査でよくある「オエッ」という嘔吐感など苦しい思いを軽減することができます。
この記事では経鼻内視鏡検査の方法やメリット、デメリットなどを紹介します。
経鼻内視鏡ってどんなもの?
従来の胃カメラ検査は口からスコープのカメラを飲み込み、体内の異常を発見する方法がとられていました。しかし胃カメラを飲み込む検査で苦しくなる人もいて、検査に抵抗感を感じていたという人も少なくないようです。
胃カメラやスコープが舌にあたったときに感じる「オエッ」という嘔吐感のために、検査が嫌になってしまったという人もいると思います。検査をする医療機関としても、患者さんの苦しそうな姿は見たくないものです。
このような苦痛を解消するために開発されたのが経鼻内視鏡検査です。経鼻内視鏡検査は鼻からスコープを入れる検査です。
経鼻内視鏡検査で使われるスコープは、直径が5.9mmで、従来の検査用の8~10mmあるスコープと比較するとかなり細い形状になりました。柔軟性が高いため鼻腔内に入れても異物感が生じにくく、鼻から入れることでスコープが舌に触れたときに起こる異物感や喉頭反射(嘔吐感)を避けられます。
ただし、鼻からであっても、実際にスコープという異物を入れることになります。感じ方に個人差はありますが、違和感、異物感、多少の痛みなどが生じることはあります。
経鼻内視鏡のメリット・デメリットは?
経鼻内視鏡検査にもメリットとデメリットがあります。
メリット
- 内視鏡が舌根部に触れないため、嘔吐反射が起こりにくい
- 検査中も会話が可能
- 苦痛が少なく、鎮痙剤や鎮静剤を使用しなくてよい
- のどに麻酔をする必要がなく、検査後すぐに飲食可能
デメリット
- 鼻腔が狭い場合は内視鏡を鼻から挿入できない(鼻中隔が曲がっている、鼻の手術の既往歴がある、アレルギー性鼻炎で鼻の粘膜がむくんでいるなど)
- 鼻出血を起こす可能性が数%ある(圧迫止血で止まる程度)
- 内視鏡が細いため視野が小さく、検査時間が長くなる傾向がある
- 鉗子口が細いため生検は可能だが、特別な処置や治療はできない
検査の流れは?
一般的な経鼻内視鏡検査の流れは、以下の通りです。
1. 鼻の通りをよくする薬(血管収縮剤)を鼻腔に噴霧する
2. ジャクソン氏噴霧器で鼻腔内に麻酔をかける(時間をかけて数回にわける)
3. 鼻から内視鏡を挿入する
4. 中鼻甲介を目標に先端を挿入する
5. 鼻中隔、下鼻甲介に囲まれた三角形のすき間を発見する
6. さらに進むと口頭蓋が見えてくる
7. 食道の入口部に到着
8. 胃の中を観察する
9. 胃の幽門輪が見え、奥に十二指腸がある
10. 十二指腸内部に進む
検査時の注意点
- コルセット、メガネなどをはずす
- 検査施設によっては義歯、時計、口紅をとる場合がある
- 胃の運動を止める薬を注射する場合がある
- 検査中は力を抜いてリラックスする
検査中に違和感などがある場合は医師にそのことを伝えましょう。経鼻内視鏡検査では口を自由に動かせるため、医師と会話することができます。もし痛みを感じた場合は、我慢しないで医師に伝えてください。検査後に具合が悪くなった場合もすぐに医師に相談します。
検査後は医師と画面を見ながら検査結果を聞きます。ただし組織採取を行った場合は、後日に検査結果を聞くことがあります。
経鼻内視鏡検査の注意点は?
経鼻内視鏡検査を受ける際、気をつけたい注意点を紹介します。
基本的注意事項
抗凝固薬や抗血小板薬などを服用している場合、検査で鼻出血が起きたときに血が止まりにくい可能性があります。服用中に検査を受けることになったら事前に医師に相談してください。
検査前日の注意事項
- 夕食は軽めの内容にする
- 夜9時以降の飲食は禁止。ただし水は飲んでよい
- 常用薬の服用は可能
- 早めに就寝する
検査当日の注意事項
- 検査まで飲食は控える。ただし水は飲んでよい
- 検査まで喫煙はしない
- 検査まで薬の服用はしない。ただし薬を服用中の場合は事前に必ず医師に相談
- 検査には着替えやすい服装で向かう
当日の検査後の注意事項
- 鼻を強くかまない
- 検査直後の自動車の運転は禁止
- 飲食は検査後30分~1時間後から
- 激しい運動は避ける
- お風呂はシャワー程度
- 検査で組織採取を行った場合、刺激のある食事、飲酒、コーヒーは2~3日控える
おわりに:経鼻内視鏡検査は痛みや苦しさが少ないことがメリットです
経鼻内視鏡検査は従来の胃カメラ検査と比較して嘔吐感などの苦しさが軽い検査といえます。ただし、鼻になんらかの異常がある、抗凝固薬など特定の薬を服用しているなどの場合は注意が必要です。不安があるときは医師に相談し、安心した状態で検査を受けることをおすすめします。
(medicommi 2020年2月26日)