【産婦人科医コラム】HPVワクチンで子宮頸がんを予防しましょう!②-約9年ぶりに積極的勧奨再開-2022.07.14
前回は、主に子宮頸がんワクチン積極的勧奨再開についてお伝えいたしました。今回は子宮頸がんの予防やワクチンを受ける際の大切なことについてお話いたします。
子宮頸がんの予防
HPVワクチンを接種することで、子宮頸がんを起こしやすいタイプのHPV感染を防ぐことができます。現在、公費で受けられるHPVワクチンは、2価ワクチン(HPV16・18型)と4価ワクチン(HPV6・11(尖圭コンジローマ予防)・16・18型)の2種類です。どちらも接種することにより、子宮頸がんを70%近く予防することができます。この他に9価ワクチンがあり、任意接種として接種することは可能ですが、接種費用は全額自己負担となります。
さらに、子宮頸がん検診を定期的に受けることで、がんになる過程の異常(異形成)やごく早期のがんを発見し、医師と相談しながら経過観察したり、負担の少ない子宮を温存した治療につなげたりすることができます。
また、検診の際に「子宮内膜症」など他の女性特有の疾患が見つかることもあります。検診はとても有用です。20歳になったら、ぜひ子宮頸がん検診を受けましょう。
子宮頸がんは、HPVワクチン接種と定期的な子宮頸がん検診で予防できる疾患です。海外では以前より積極的な取り組みが行われており、子宮頸がんは征圧できる可能性があると言われ始めています。
ワクチン接種を受ける時に大切なこと
接種後に報告された症状の多くは、ワクチンに対する不安や恐怖感といったストレスによるものと考えられます。まずは配布された説明書をよく読んでいただき、HPVワクチンのベネフィット(有益性)とリスクについて正しく理解していただきたいと思います。疑問な点については、接種を受ける前に遠慮なく医師にご相談ください。ワクチン接種は、他人に説得されて受けるものではなく、あくまでも自らが納得して受けることが大切です。
もちろん注射ですから、接種の際に痛みはありますが、通常はその痛みが持続することはありません。
また、特に痛みに弱いという人には、我々医師は接種時の痛みをやわらげる工夫も取り入れています。「それでも不安が・・・・・。」という方、既に接種を経験した友達の声を聞いてみてください。きっと背中を押してくれるのではないでしょうか。そして、できるだけリラックスした雰囲気の中で接種を受けていただきたいと思います。当院では皆、にこやかに接種を受けていかれています。
おわりに:広げよう、ワクチン接種の輪!
HPVワクチンは、若い女性の健康や将来の妊娠・出産を守るとても有効な方法です。社会全体でワクチン接種の機運が高まるとともに、“HPVワクチンfor me”を合言葉に、接種の輪が広がることを期待します。
【参考:長野県医師会「HPVワクチン積極的勧奨再開」のお知らせ】
https://www.youtube.com/watch?v=hVNM9EhTFuk
参考:子宮頸がんとは
「子宮頸がん」とは、女性の子宮頸部にできるがんのことです。子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因であることがわかっています。このウイルスは性的接触により子宮頸部に感染します。HPVは男性にも女性にも感染するありふれたウイルスであり、性交経験のある女性の過半数は、一生に一度は感染機会があるといわれています。
しかしHPVに感染してもほとんどが免疫の力でウイルスが自然に排除されますが、このうち自然治癒しない一部の人は異形成とよばれる前がん病変を経て、数年以上をかけて子宮頸がんに進行します。
鈴木章彦
医療法人 すずきレディスクリニック 理事長・院長
女性へのメッセージ
“原始、女性は太陽であった”。
女性が心身ともに元気で輝ける社会こそ理想的で、真に豊かな社会であると考えます。『女性の健康』はすなわち『社会の健康』、女性専属の健康管理パートナーとしてお手伝いさせていただきます。
本来、健康や病気についての情報発信は我々医師の務めですが、十分にその役割を果たせているとはいえない現状にあります。
この健康支援アプリ『LiLuLa』を通じ、一人でも多くの女性にわかり易く正しい情報が伝わり、心と体が健康な明るい女性が増えることを期待しています。
どうか気楽に、安心して、何でもご相談ください。