緑茶でがんが予防できる!?緑茶の効能のウソ・ホント2022.12.08
「緑茶は健康にいい」というお話、一度は聞いたことがありませんか?緑茶は、中国医学で何世紀にもわたって、頭痛やうつ病の治療に用いられてきたといわれています。
「緑茶を飲むと痩せる」「コレステロールが下がる」「がんが予防できる」などなど、緑茶の効能に関するウワサはたくさんありますが、どれも本当なのでしょうか?
緑茶でがんを予防できる?
緑茶でさまざまながんを予防できるかどうかは、実証されていません。2009年に160万人以上を対象にした、緑茶と消化管関連のがん、前立腺がん、乳がん、口腔がん、肺がんに関する51の研究が実施されましたが、「緑茶とがんとの関連性は弱い」という結論に至っています。
ただ、2015年には「胃がんと乳がんの治療に使用される薬を緑茶と併用したところ、より治療効果が高い化合物に変わった」という研究が発表されました。まだ初期の実験段階ですが、将来的にはがんの治療に応用される可能性があります。
緑茶で痩せることはできる?
緑茶に含まれる抗酸化物質(カテキンやカフェイン)には、カロリー燃焼の作用があり、新陳代謝が促すとも言われています。
ただ、ダイエットに使用される緑茶生成物とは、普通の緑茶ではなく高濃度のカテキンやカフェインを含んだ緑茶の抽出物です。
なお、2012年での研究では、緑茶を飲むことによる体重減少について有意な効果は認められませんでした。
緑茶がコレステロール低下に役立つ?
2013年に報告された821人を対象とした11の研究では、「緑茶を毎日飲むと、カテキンの効果でコレステロールと血圧が下がりやすくなる」ということがわかりました。
ただ、これは短期間に行われた研究だったため、裏づけをとるためには、より長期間で精度の高い検証が行われるべきだと言われています。
また、2011年の別の研究でも「緑茶を飲むと、カテキンの効果で心臓病や脳卒中の主な原因であるコレステロールがわずかに減少する」と発表されています。
しかし、健康のために飲むべき量はどれくらいなのか、また飲むことによる身体への長期的な影響についてははっきりしていません。
緑茶でアルツハイマー型認知症を予防できる?
2010年に研究が行われましたが、アルツハイマー型認知症に効果が期待できる成分が緑茶に含まれているかについて、はっきりした結果は認められませんでした。
緑茶で血圧を下げることができる?
過去の研究データをまとめた2014年の調査で、緑茶に血圧を下げる作用があるかを調べたところ、高血圧の人数が半減したといわれています。
ただ、心臓病や発作を予防できるかどうかまでははっきりしていません。
緑茶で虫歯を予防できる?
2014年、一般に使用される抗菌マウスウォッシュと比較して、緑茶うがいが虫歯予防において、どれほど有効性が認められるかの研究が行われました。このときの研究の結果では、どちらも同じくらい有効という結果が出たといわれています。
栄養面での評価
一部の国では、関節炎の治療やダイエット、がんの予防のために緑茶が使用されてきましたが、検証としては不十分です。
しかし、ビタミンB群、葉酸、マンガン、カリウム、マグネシウム、カフェイン、カテキンなどの抗酸化物質が含まれているというメリットはあるので、適量であれば飲み続けてもいいでしょう。
おわりに:効果効能ははっきりしていないが、適量であれば飲み続けてかまわない
緑茶は、私たち日本人の生活に身近な飲み物です。その効能については、現段階でははっきりわからない点が多く、今後の研究にも期待が膨らみます。「緑茶うがい」は虫歯予防に役立つため、試してみてもいいかもしれません。
また、緑茶自体に栄養が含まれていますので、適量であれば飲み続けてもかまいません。毎日の食事やおやつの時間などに取り入れてみてください。
(medicommi 2017年3月23日)