LiLuLa リルラ

LiLuLaアプリでもっと便利に

無料ダウンロード

先生の紹介

ご協力いただいている
先生の紹介

【産婦人科医コラム】気になる性感染症 備えるために大切なこと2023.03.09

最近、梅毒が増加しているというニュースをよく目にします。それに伴い、性感染症への心配がより強くなっているのではないでしょうか。

性感染症は、無症状も多いため、検査を受けなければ感染がわからず、知らないうちにパートナーに感染させてしまうということも少なくありません。性感染症の多くが、一旦治療し治癒しても再度感染するため、パートナーが感染しているとわかったら必ずカップルで検査および治療を行うことが大切です。

性感染症を予防するには、適切にコンドームを使用することが有用です。オーラルセックスにおいてものどや口から感染する為、コンドームを使用することをお勧めします。

HIV(ヒト免疫不全ウィルス)、梅毒の検査は、保健所にて匿名で検査することができます。保健所によっては、クラミジアや淋菌も検査できます。保健所ではできる検査に限りがあり、治療ができないため、かゆみや帯下異常がある場合、また網羅的に性感染症の有無を調べる際には、婦人科クリニックを受診してください。

いろんな性感染症を知ってみましょう

●性器クラミジア感染症

罹患すると、帯下異常・性交時出血・下腹部痛などの症状がありますが、罹患している女性の90%以上が無症状で、無治療のまま放置されることが多くなっています。感染が卵管を通じて腹腔内へ移行すると骨盤腹膜炎や右上腹部に強い痛みを伴う肝周囲炎になります。こういった炎症は、入院し治療が必要となることが多く、腹腔内や卵管周囲が癒着(ゆちゃく)する為、クラミジアが完治しても将来不妊症の原因になります。

また、クラミジア陽性者の約10%が淋菌感染症を合併しています。淋菌感染症では罹患している女性の約50%が無症状で、また10-30%が咽頭にも感染を認めています。

●性器ヘルペス

陰部に潰瘍(かいよう)もしくは水疱(すいほう)ができます。初発は症状が強いことが多く、再発は初発より症状は弱いものの、体調不良時など頻回に再発を繰り返すこともあります。無症状でも感染源となり、肛門・臀部(でんぶ)・大腿部などにも再発がおこるため、完全には予防することは難しいです。

●尖圭コンジローマ

陰部・子宮口・肛門・尿道口などに乳頭状・鶏冠状(鳥のとさかのような)の腫瘤(しゅりゅう)ができます。主に6型・11型のHPV(ヒトパピローマウィルス)が原因で、4価や9価のHPVワクチン接種によりリスクを減らすことができます。

現在日本では、HPVワクチンは女性のみ公費接種となっていますが、世界ではアメリカ・イギリスなど20数か国が男性にも公費接種を行っています。子宮頸がん撲滅に向けて女性のHPVワクチン接種を推進するのはもちろんですが、近い将来、日本において男性にも公費接種が行われることを期待します。(一部の自治体では男性のワクチン接種の無償化が決定しています※)

●腟トリコモナス症

腟トリコモナス原虫が原因の性感染症で、泡沫(ほうまつ)状の帯下増量や帯下の異臭を伴うことが多いですが、約10-20%は無症状です。治療はパートナーとの同時治療(内服)が原則ですが、治療薬がアルコールの代謝に影響する為、10日間の治療期間中禁酒が必要となり、飲酒をされる方は治療のハードルが高くなります。

●梅毒

梅毒トレポネーマという細菌感染が原因で、感染すると性器や口にしこりができたりしますが、一旦症状が消失してしまうため治ったと思い発見が遅れることがあります。感染者は年間1000人以下でしたが2013年ごろから感染者が増え始め、ここ数年で爆発的に増え、2022年は10000人を超えています。

おわりに:性感染症はパートナーと一緒に検査と治療をしましょう

上記のように性感染症では、無症状も多く、診断や治療の遅れは、自分自身の健康を害するだけでなく、知らずに大切なパートナーを感染させてしまうことにもなります。パートナーと一緒に適切に治療しなければ、ピンポン感染を繰り返してしまいます。

また、性器クラミジア感染症のように、過去の感染がきっかけで不妊症となり、将来体外受精以外の方法で妊娠できない女性も多くいらっしゃいます。コンドームを適切に使用して性感染症を予防するのはもちろんのこと、気になる症状がある場合、不安なことがある場合には、積極的に検査を受けることをお勧めします。

ヴァルクス公美子

ヴァルクス公美子

アヴァンセレディースクリニック 院長

ページトップへ