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細菌性赤痢の感染経路と症状、予防対策について2024.10.03

細菌性赤痢は世界中でみられる感染症ですが、日本での発症数はあまり多くありません。しかし、二次感染による保育園や福祉施設での集団感染の可能性は否定できません。この記事では、細菌性赤痢の感染経路と症状、予防対策について解説していきます。

細菌性赤痢とは

細菌性赤痢の原因は赤痢菌です。赤痢菌を経口摂取すると、赤痢菌は大腸上皮細胞に侵入し、隣接細胞への再侵入を繰り返します。すると、上皮細胞に壊死や脱落が起こり、血性下痢の症状が現れます。

細菌性赤痢の感染経路

感染者や保菌者の便に含まれた赤痢菌に汚染されたものが感染経路となり、おもに以下の感染経路が考えられます。

  • 手や指
  • 食品
  • 水や氷
  • ハエ
  • ドアノブなどの器物

細菌性赤痢は感染力が強く、汚染された食品や水などを感染経路とした二次感染を引き起こし、保育園・学校・福祉施設などで集団発生する恐れがあります。日本国内では赤痢患者数が減少していますが、途上国から帰国した人から感染する輸入感染症例や、輸入食品を原因とする発症例がみられます。

細菌性赤痢の症状

細菌性赤痢の症状の特徴は以下の通りです。

細菌性赤痢の症状の特徴

  • 潜伏期間:1~5日
  • 症状:発熱、腹痛、下痢、血便、テネスムス(便意があるのに便が出ないまたは少ない)など
  • 検査:検査を行い、陽性だった場合は医師が保健所に届け出をします

発熱は1~2日程度で治まることが多く、基本的に急性腸炎の症状がみられます。腸管外に症状が現れることはあまりみられません。日本で発症した場合は軽症であることが多く、数回の下痢や軽度の発熱で症状が治まることも多いといわれています。重症に至った場合は、脱水症状による電解質異常、腎機能障害が現れることがあります。なお、無症状の場合もあり、感染に気づかないこともあります。

細菌性赤痢の治療法

健康な人は治療しなくても4~7日間で症状が治まる傾向にあります。治療が必要になった場合には、対症療法と抗生物質による治療が行われます。なお、下痢が続くと体内が水分不足になり、脱水症状を引き起こすことがあります。脱水症状が強く現れたら、医療機関を受診してください。

対症療法

一般的には、強力な止瀉薬(ししゃやく:下痢止め薬)を使用せず、乳酸菌、ビフィズス菌などの生菌整腸薬を使用します。解熱剤は脱水症状を悪化させる場合があるため、使用については慎重に検討されます。また、抗生物質のニューキノロン薬も併用できない薬剤が多いので、慎重に検討されます。脱水が強く現れている場合は、静脈内あるいは経口輸液を行います。

抗生物質による治療

成人に対してはニューキノロン薬を使用します。適応がある小児にはノルフロキサシン(NLFX)、適応がない5歳未満の小児にはホスホマイシン(FOM)を使用します。常用量で5日間内服投与をし、服薬治療終了後、48時間以降に24時間以上の間隔で2~3回、糞便の培養検査をします。一般的には、検査で2回連続陰性になったら除菌されたとみなされます。

細菌性赤痢の予防対策

細菌性赤痢の予防は「感染経路の遮断」が基本です。石けんでの手洗いを心がけ、清潔を保ちましょう。食事の前・調理前後・トイレ使用後の手洗いはとくに大切です。上下水道の整備などが細菌繁殖を防ぐことにつながるため、下水道の整備が不十分な地域では赤痢の発症が多い傾向にあります。赤痢の発症が多い地域では、生もの・生水・氷などは飲食しないようにしてください。

なお、細菌性赤痢の予防ワクチンはありません。赤痢の発症が多い地域を訪問した場合は、できるだけきれいな水で、こまめに手を洗うことをおすすめします。帰国した際は、高齢者や子どもに二次感染させないように注意しましょう。

感染した場合の対策

排便後は十分に手洗いしてください。感染した要介護者などの排泄介助をする場合も、感染が拡がることを防ぐため、必ず対策を取りましょう。

おわりに:国内発症数は少ないが予防は必要。集団感染を引き起こさないことが大切

細菌性赤痢は国内での発症数の少ない感染症ですが、感染力が強く集団感染を引き起こした事例があります。予防ワクチンがありませんので、感染予防のために手洗いなど、できることを徹底しましょう。

(medicommi 2024/8/14)

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