切れ痔の原因と予防・回復に役立つ対策2025.03.27

切れ痔は比較的一般的な疾患になりますが、デリケートな悩みであるため相談しにくく、ひとりで悩みを抱えている人もいると思います。切れ痔を放置して悪化・慢性化すると、肛門に潰瘍・ポリープ・瘢痕などができ、肛門狭窄が起こることもあるため注意が必要です。この記事では、切れ痔のおもな原因と切れ痔の予防・回復を促すために役立つ対策について解説していきます。
切れ痔(裂肛)のおもな原因
切れ痔(裂肛)は、直腸内部の薄く湿った膜の部分に、小さな亀裂・裂傷が起こる疾患です。切れ痔のおもな症状は肛門とその周辺の痛みであり、排便時に痛み・出血が起こります。切れ痔は「排便時のいきみ」が原因で起こることが多く、慢性的な便秘の人は切れ痔になりやすいといわれています。また、切れ痔のリスク要因である便秘・下痢を引き起こしやすい生活を過ごしている場合も、切れ痔のリスクを高める可能性があります。
なお、下痢のときに便が勢いよく出る際に切れ痔を発症する場合があり、便秘と下痢を繰り返すことが多い人も切れ痔が悪化しやすい傾向にあります。これは、頻繁に下痢を起こすことで肛門管への刺激が増加し、傷が回復しにくくなるためと考えられています。
切れ痔の男女差について
一般的に、切れ痔は女性に多い傾向にありますが、これは女性が便秘になりやすいことが関係していると考えられています。女性には月経周期があり、月経前にプロゲステロンという女性ホルモンが多く分泌されます。プロゲステロンは大腸での水分吸収を促す作用があり、分泌量が多くなると便が硬くなり、便秘になりやすくなります。また、ダイエットによる栄養の偏り・ストレスなども、便秘の原因になる可能性があります。便秘以外の原因としては、女性に多くみられる「冷え性」の影響で肛門管の血行が滞り、傷の回復が遅くなることで切れ痔が悪化するなどが関係していると考えられています。
切れ痔予防に役立つ便秘解消対策
一般的に、以下の生活を過ごしている人は便秘になりやすいといわれています。切れ痔は再発しやすい傾向にあるため、健康的な排便習慣をつくることは、切れ痔の予防・回復のために大切になってきます。
- 水分の摂取量が不足している
- 食物繊維の摂取量が不足している
- 脂質を過剰に摂取している
- 運動不足・体を動かす機会が少ない
- 長時間同じ姿勢でいることが多い
- ストレス・睡眠不足・疲労などで自律神経のバランスが乱れている
便秘時の便は通常の便よりも水分が少なく、固い性状となるため、排便時に強くいきむことになります。こまめに水を飲むことを習慣づけるなどして、適切な水分補給を心がけましょう。また、適度な運動を習慣化したり、お腹をマッサージして腸を刺激したりすることも、便秘解消に役立ちます。なお、適度な運動は、肛門の血流を促すという点でも、切れ痔の予防・回復に良い影響を与える可能性があります。
食物繊維を適切に摂取することは、便秘の予防・解消に役立ちます。野菜・果物・海藻類を毎日の食事に積極的に取り入れましょう。ただし、ゴボウなどの根菜類に多く含まれる不溶性食物繊維の過剰摂取は、便秘を悪化させる可能性があるため注意してください。海藻類などに含まれる水溶性食物繊維を中心に摂るように心がけることをおすすめします。また、健康的な排便習慣のためには、米・パン・麺類などの主食や質の高い脂質を適量摂ることも大切になってきます。極端な食事制限を行ったり一定の食品を偏って摂ったりするようなことはせず、バランスの整った食生活を送ることを心がけてください。
おわりに:切れ痔予防・便秘解消のためには健康的で規則正しい生活が大切
切れ痔のおもな原因は便秘・下痢などの排便習慣であり、とくに便秘は大きく関係してきます。便秘解消のためには、食生活・運動習慣などを見直し、規則正しい生活を送るようにすることが大切です。また、ストレス・睡眠不足・疲労なども影響するため、ストレスをこまめに解消し、睡眠時間・休憩時間・休息日をきちんと確保するようにしてください。切れ痔が回復せず何度も繰り返したり、悪化していたりする場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
(medicommi 2024/2/20)