「不妊症」の定義と治療の歴史日本における生殖補助医療の発展
不妊治療の種類
不妊治療には、精子を人工的に女性の子宮内に注入する人工授精、精子と卵子を体外で自然に受精させる体外受精、精子と卵子を体外で人工的に授精させる顕微授精などの方法があります。
体外受精や顕微授精など、精子と卵子を体外で操作する治療を生殖補助医療と呼びます。
不妊治療の歴史
1978年にイギリスで、世界で初めての体外受精による出産に成功しました。
赤ちゃんのルイーズ・ブラウンの名は世界中に報道され、当時は「試験管ベビー」と呼ばれて大きな衝撃を与えました。
日本で最初の体外受精による赤ちゃんが誕生したのは、ルイーズの誕生から5年後の1983年のことです。
1992年には、ベルギーで世界で初めての顕微授精による妊娠分娩に成功し、同年、日本でも初めての顕微授精による分娩例が報告されました。
その後技術の発達や設備の充実により、生殖補助医療は世界中で急速に普及していきました。
日本産科婦人科学会のデータによると、2020年に日本国内で生殖補助医療によって生まれた赤ちゃんは60,381人でした。
これは、2020年に生まれた赤ちゃんの14.3人に1人が生殖補助医療で生まれたことを示しています。
不妊治療を受けるうえで大切なこと
この40年で生殖補助医療は世界に普及し、中でも日本は世界有数の体外受精大国となっています。
だからといって生殖補助医療だけに頼るのではなく、自分の年齢・体質・持病などの状況に応じてどのような不妊治療をするのか、様々な選択肢の中から自分で選んでいくことが重要となってくるでしょう。
不妊症治療を行っても必ず妊娠するとは限らないため、不安やストレスをともなうことも心にとめて、カップルで協力して治療を受けることが大切です。
POINT
- 体外受精や顕微授精など、精子と卵子を体外で操作する治療を生殖補助医療と呼びます。
- 2020年の国内における生殖補助医療による出生児数は60,381人で、その年の全出生児の約14.3人に1人の割合です。
- 状況に応じてどのような不妊治療をするのか、自分で選んでいくことが重要となってくるでしょう。
- 不妊症治療を行っても、必ず妊娠するとは限りません。
- 不妊症治療には不安やストレスをともなうことも心にとめて、カップルで協力して治療を受けることが大切です。