経口避妊薬「低用量ピル」は、どういいの?避妊効果の高い「低用量ピル」とは
経口避妊薬(ピル)とは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が含まれる薬で排卵を抑制する、精子の子宮内への進入を妨げる、着床を阻止するなど多様な作用で避妊効果を発揮する薬です。
経口避妊薬は1960年に米国で初めて発売されましたが、当時はまだ成分含有量が多く強い副作用がみられる「高用量ピル」でした。
その後、中用量ピル、低用量ピルへと改良され、現在、一般的に日本で処方されているのは低用量ピルです。
低用量ピルは、医学的に特別な問題がない限り、初経から閉経まで服用することができます。
毎日一定の時刻に1錠ずつを欠かさず飲むことで高い避妊効果が得られ、妊娠を希望するときには服用をやめれば抑制されていた排卵も1~3カ月ほどで再開し、生理が訪れるようになります。
つまり、女性が自分の意思で避妊をコントロールできるというメリットがあります。
しかし、残念ながら日本では低用量ピルの使用率は、欧米諸国に比べ格段に低いのが現状です。
ピル(経口避妊薬)の使用率(%)
婚姻・同棲関係にある女性の避妊法
2013年 国連発表
(各国のデータは1998~2011、*日本は北村邦夫:16歳~49歳「男女の生活と意識に関する調査(2016)」)
2013年に国連が発表した低用量ピル使用率のデータを見てみると、欧米では16.3~40.6%と高いのに対し、日本はわずか2.9%に過ぎません。
考えられる理由は、日本は1999年まで低用量ピルが承認されていなかったこと、ピルには「副作用がある」というイメージが先行してしまったことにあるとされています。
低用量ピルは、医師の処方が必要であり、コンドームなどに比べて金銭的な負担もありますが、きちんと服用すれば高い避妊効果が得られます。
また、生理不順や月経困難症などの症状の緩和も期待できます。
自分の意思で人生を設計したい女性には選択肢のひとつになると考えてよいでしょう。
POINT
- ピルは「排卵を抑制する」「精子の子宮内への進入を防げる」「着床を阻止する」など多様な作用で避妊効果を発揮する薬です。
- 低用量ピルには高い避妊効果のほか、生理不順や月経困難症などの症状の緩和も期待できます。