卵巣出血
概要
卵巣出血とは、卵巣からの出血が腹部の空間にたまる病気で、突然の激しい下腹部痛を引き起こすことがあり、幅広い年齢層で発症すると報告されています。出血するきっかけによって、外因性、内因性、特発性の3つに分けられます。
原因
外因性卵巣出血は外傷性(体外受精時の採卵や卵巣手術、腹部の外傷など)と非外傷性(子宮内膜症やがんといった他の病気など)に分けられます。全身性の血液凝固異常や抗凝固薬の内服などにより発症するものは内因性と呼ばれます。特別な病気や異常のない特発性では、排卵に伴って裂けた血管からの出血(卵胞出血)の他、排卵の後にできる黄体の中に血液がたまって生じた血液のかたまり[出血性黄体嚢胞(のうほう)]が破け腹腔内へ出血するものが多くみられます。また、性行為がきっかけとなる場合もあります。
症状
急性の下腹部痛、腹部の圧迫した痛み、腹部が硬い感じがする、吐き気、下痢などがみられます。下腹部痛の程度は出血量により異なり、出血量が多いとショック状態になることもあります。
治療
治療は出血量によって異なります。出血量が少なく、全身の血液循環の状態が安定している場合は、安静の上、慎重に経過観察を行います。出血量が多く、出血が持続して全身状態が悪化している場合は、輸血を行った上で経過観察を行ったり、場合によっては緊急手術により止血します。