【産婦人科医コラム】子宮頸がんを予防しましょう(2)2019.03.13
前回のコラムでは子宮頸がんにかかる若い人が増えている現状と、ウイルス感染が原因であることをご紹介しました。
今回は子宮頸がんにならないためにできることについてお伝えしたいと思います。
子宮頸がんにならないためには
前がん病変の内に発見して治療を行うことでがんへの進展を防ぐことができます(二次予防)。
それには子宮頸がん検診を受けることが必須です。
これに対し、HPVの感染自体を予防して前がん病変・頸がんを発生させないようにするのがHPVワクチンです(一次予防)。
HPVワクチンは、子宮頸がんの60%~70%の原因となるHPV16/18型の感染を予防するワクチンで、国が定める定期接種ワクチン(12~16歳女子対象、3回接種)の一つです。
しかし、2013年6月以降は厚生労働省が積極的勧奨を中止しました。
現在は、ワクチン接種に関連した副反応を危惧して子宮頸がんワクチンを受ける方がほとんどいない状態です。
国外ではHPVワクチンの高い有効性が報告されていますが、これまで日本においてはワクチン接種後の子宮頸がんの予防効果を示すデータがありませんでした。
最近、新潟大学医学部産婦人科学教室の研究グループが子宮頸がんワクチンの効果について報告しました(2018年10月)。
子宮頸がんワクチンの接種者と未接種者で、発がん性の高いタイプのHPV感染率を比較した結果、ワクチン接種で感染を予防できる確率は90%以上で、性交経験前に接種した場合は予防効果がさらに高くなることを明らかにしました。
今後も引き続き検証を行う予定とのことですが、日本においてもワクチンによる一次予防の効果が確認されるでしょう。
若い女性の子宮を守りましょう
子宮頸がんは、早期がんのうちに治療すれば治癒率も高く、また子宮を温存できます。
しかし進行がんになると子宮を温存することができなくなる上に、再発率・死亡率も高くなります。
出血などの症状がなくても、20歳を過ぎたら、2年に1回の子宮頸がんの検診を受けましょう。
またHPVワクチンを接種した方も頸がん発症予防効果は100%ではありませんので子宮頸がん検診を受けましょう。
HPVワクチンによる一次予防と、子宮頸がん検診で早期に異常を発見しがんへの進行を防ぎ、自分の命と子宮を守りましょう。
(2018年11月寄稿)